イタリア便り8月号


24年前の夏、初めてイタリアの地を踏んだローマ空港の敷地内で、
羊の群れが草を食べていたのにはビックリしました。
そして、あの光・・・。今まで日本では絶対に浴びた事のない明るさに満ちていました。
けだるく、しかし本音で生きて行けるこの国に慣れてしまったので
先日の日本滞在では強烈に疲れ、体重が3kgも増えてしまいました。
今月はそんなユルい国の混沌ぐあいと、それに対比するヤマの風景をお届けします。


1=高速のサービスエリアにて、飲酒運転のススメ。
かなり大きいポスターに「ドライブビールなら道交法違反じゃないよ!」とF1ドライバーが薦めている。
一体何だ?と良く読めば、
一番下に小さーい字で「アルコール分2.5%の当ビールなら
2本まで飲んでも酔っぱらい運転にはなりませーん!」と、科学的考察だ。
一緒の日本人技師は唖然としていた。「スゴい国だ・・・」と。
ここでボクは鋭く計算してみた。
2.5%で2本なら、普通の5%ビールを飲んでから水を同量飲めばOKなんだな!と。
買い替えたミニバンには冷蔵庫が付いているので、今後はそういう運転をしようではないか!。
もう日本には適応できなくても良い!!
2=某機械工場建物の歩道部。
人間の絵が分断されている。
その2枚のブロックをサッと取り替えればちゃんとした絵になるのに、誰もいじらない。
日本人技師、またも唖然。
「オレが直してやってもいいかな?」と毎回その上を歩くたびに聞かれた。
「次回に来てもそのままか見てみましょう」となだめる。
空気がユルい中部イタリアにて。
3=肉屋の片隅の羊頭。
店先に吊るしてあるのは胴体だけだったので聞いたら「そこにあるよ」と見せてくれた。
これをスープにすると抜群にウマいそうだがまだ試してない。
4=北イタリアの料理店がある部落風景。
あたしも、昔は色白でXX小町と呼ばれてキレイだったのよ。
今は一人で淋しく生きているの。
ちょっと鬱病の気があるの。辛いわ、死んでしまいたい・・・。
4=そう落ち込むこたあ、ねえぜ!。
前々からお前さんの事は気になっていたんだ。
俺とは赤いロープで繋がっているんだ。
元気を出して一緒にやって行こうぜ!。
(貴方をどこかで愛している人が必ず居ます)
5=アペニン山脈の小さな村で。
オレンジ色,黄色,赤に塗られた村の路地。初夏の光が美しい。
誰も居ない昼下がり。
6=村が仮死する昼寝休み時、屋外テーブルの泥棒よけ用白ロープ。
そこには音の無い風景が展開していた。
(ホントに盗む気ならペンチ持って来るって)
7=パルマ郊外の古城を訪ねる。中世そのままの風景が広がる。
8=城内部。写真の神様が降りて来た一瞬。
影と繊細な色の対比が美しい。
9=展望室と田園風景。ここで領主が自分の領地を眺めていた。
500年経ったが何も変わっていないかも知れない。
10=暑いので2800mのドロミティ小屋に上がる。
雲の海,霧の滝を見下ろすテラスにて放心。
ここに3泊する。
11=夕食時の雲のダンス。
   日没が9時半過ぎなので、夕食中にも何度かテラスに飛び出して撮影する。
この小屋は肉と赤ワインがウマいので食べ過ぎてしまった。
12=夕焼けを映す遠くの山はピンク色に霞んでいる。
まもなく真っ暗になる。
キース・ジャレットか、PINK FLOYDか、悩みます。
13=テラス北側の岩。
最後の陽射しが霧を染めている。
岩は寡黙だが、美しさを饒舌に表して来る。
それはほんの1分ほどで消えた光の戯れだった。
(大きい映像で送ります)

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14=光の帯、影の帯。
  自分が対峙できる幸せ。
地球は美しい。
15=夜明けのテラスから。
これだけの絶景なのに、誰も起きて来ない。
日が昇る前が最も美しいと言うのが判ってないかな。
テラスに来なくても、部屋から見られるのにね。
早起きしない写真家はダメよ。
16=世界大戦時の砲弾と愛用の大砲の対面。
この一帯では激しい戦闘が繰り広げられた。
「撃つ兵器」と「撮る兵器」の巡り合わせ。
17=絶景にのけぞる男、・・・ではありません。
デジカメで撮る時はこうなります。
腰に悪そう。
それにブレますよ。
18=下界に降りての昼食。
ハム関係の天国なのでバイツェンビールで味わう。
10ユーロ。
最高。
19=ヴェローナ野外オペラ入場前。
アルゼンチンとイングランドの死闘。
お巡りさん、仕事サボっているとピストル盗まれますよ!。
20=特等席にて、前のオバちゃんのアタマ。
イタリア銀行頭取夫人らしいが、このトウモロコシあたまのおかげで舞台が見にくかった。
それに羽虫がヘアの中に迷い込んだりしていた。
その後、オペラ独唱の場面で外から大歓声が聞こえて来た。
フランスがブラジル相手に得点したのだ。